お手入れ

着物を着た後のお手入れは長く美しくお召しいただくのにとても大事と考えます。職人のお仕事はやはり素晴らしいのでぜひ頼って下さい。また、ご自身でできるセルフメンテナンスも効果的です。帰宅後の簡単なお手入れや虫干しなど出来ることがありますので、日々のお手入れが着物と過ごす楽しい時間にして頂けたらと思います。

丸洗い

丸洗いとは

丸洗いとは、着物を解かずにそのままの状態で洗う事です。当店の丸洗いは、全体を洗うだけでなく細かなお仕事も含めて承っております。丸洗いの料金に【全体の丸洗い・衿と袖口の部分洗い・5ケ所簡単なシミ抜き・汗抜き】が含まれております。下記にお仕事内容をご案内いたします。

  • 丸洗い………全体を洗います(着物を解かずにそのままの状態で洗う事)
  • 衿・袖口……衿と袖口は必ず汚れるので、部分的に別途汚れをとります
  • シミ抜き……部分的な汚れ・シミをとります。料金に含まれるしみ抜きは、5ヶ所まで。6ケ所目から1ケ所につき500円頂戴いたします。簡単なシミや、最近ついたシミを対象としています。
  • 汗抜き………汗をかいたところは、別途汗抜きの工程が必要です
  • 仕上げ………プレス。新しいたとう紙に入れてお渡しいたします

上記すべてが丸洗い料金に含まれます。時間の経過したシミやワイン・珈琲・血液など色の濃いものなど、状態によっては別途料金が必要になります。その場合はお見積りいたします。


丸洗い料金 / 下記以外のアイテムもお手入れ受けたまります

着物の種類料金/税込
振袖11,000
留袖/比翼あり12,000
訪問着・付下・小紋・色無地・喪服・紬9,500
浴衣6,000
長襦袢5,500
振袖用長襦袢7,000
コート 羽織/道行/道中着9,500
袋帯・名古屋帯7,000
お宮参り 一ツ身 着物と襦袢12,500
七五三 三ツ身 着物と襦袢12,500
七五三 被布8,500
七五三 四ツ身 着物と襦袢15,000

シミ抜き

丸洗い料金に含まれるしみ抜きの対象は簡単なもの・最近の汚れになります。料金内でとれるとよいのですが、何年前か分からない時間の経過したもの・カビが原因の茶色の変色・汗抜きをしていなくて残ってしまった汗ジミ。最近のものでもワインなども難しいです。

熟練の職人の技術でしみ抜きをさせて頂いております。技術力と時間の必要な高度な作業です。作業がしやすいように部分的に解いて作業することもあるので、解いた部分を戻す作業もあります。このようにシミ抜き以外にも作業がありますので、難しいシミ抜きは別途お見積りをさせて頂いております。下記に過去のお仕事の写真を掲載しております。


シミ抜きビフォアフター

画像をクリックして頂くと大きい写真でご覧いただけます。

衿のシミ
雨のシミ
カビのシミ

長く収納されていて、久しぶりにお召になる機会があった時に着物を出してみたらカビとシミが見つかりました。しみ抜き、カビ取りできれいに。

カビ

何年も収納したままで、着物を出してみたらカビが広範囲で出ていました。写真以外の場所にもカビが広く出ていましたので、仕立て直しをさせて頂く事に。表の着物の生地は洗いますが、その際にカビ取りをします。裏地にもカビは通っています。裾についている生地の八掛はカビが原因で赤色の色が変色してしまっています。裏地なので表からは見えませんが、お客様とご相談のもと、八掛の生地は新しくしました。お仕立てをしてまた着られるようになり、よかったです。

裾のシミ

車にすれたかもしれない、との事でした。油汚れのようです。キレイに取れました。

食事をしてできたシミ

座っていて、お食事の際にこぼして、お膝の上にコロンと食べ物が落ちるとこの場所にシミができやすいです。すぐにしみ抜きをご依頼頂くことをおすすめします。

食べこぼしをご自身でしみ抜きして失敗してしまったのを職人がしみ抜きしたケース ココをクリックして下さい。リンクしています。

血液のシミ
脇の汗ジミ

暑い時期に着られた時は、汗抜きをしてから収納をお願いします。脱いだ後すぐにはわかりませんが、汗をかいたままそのまま収納していると後々変色します。

ヘアカラーが原因のシミ

ヘアカラーをした次の日に汗をかいてヘアカラーが落ちてきたそうです。きものにも落ちてしまったというケースです。染め剤は取れにくい難しい仕事。職人の丁寧な仕事と技術力でなんとかきれいになりました。

 

水シミ

水だけをこぼした場合、醤油とかジュースとは違ってご自分でとれると感じるようなケースですが、色と生地の風合いそのままに綺麗にするのはやはり職人の仕事が必要でした。2019年1月30日のブログに分かりやすく掲載しています。ココをクリックしてください。

お子様の着物

ご自身が着ていた大切な思い出の七五三着物、被布。お子様にも着せてあげたいと思い、箪笥から出してみると汚れがあちこちに出ていました。「衿元だけでもシミ抜きをしたら着られるのでは」というご希望で衿元部分(青色のシールがシミの部分の印)のしみ抜きを承りました。30年近くは経過してますから、古い取れにくいシミですが、きれいになりました。お顔回りがきれいだとアップの撮影でも安心ですね。

仕上げ/プレス

仕上げ(プレス)いたします。例えば、久しぶりに着物を出してみたら、たたんでいるところ以外に余分なシワがありお困りのことはございませんか。ご自分でアイロンするのが難しい時は、プロの仕上げ(プレス)をご活用いただけたらと思います。※仕上げは、プレスのことなので洗う工程はありません。汚れがある場合は丸洗いをお勧めします

着物料金/税込
振袖・留袖5,000
訪問着・付下げ・小紋・色無地・喪服・紬3,500
振袖用長襦袢3,500
長襦袢3,000
羽織・道行・道中着3,500
3,500
4,000

 

洗張り

着物を解き、一枚の反物の形に戻してから洗う方法。今までの汚れをしっかりきれいにする・仕立直し・染め・リフォーム・リメイクなど多くの場面で必要なお仕事です。【丸洗い】と違い、解いて洗う【洗張り】をするのにはそれだけのメリットがあります。ブラシで隅々まで洗うので、丸洗いではとれない汚れ・カビもしっかり洗えます。絹は水で洗うことで絹の風合い・ハリも甦り、洗張りをした後の生地は、以前の風合い・ハリを取り戻して生き返ったかのようです。

洗張とは

  • きれいにする・カビ対策
    全体の汚れ・シミ・カビが丸洗いでは取れなくなった時に
  • 修復 着物の風合いを蘇らせる
    何年も着ていると生地・糸が弱りハリがなくなりますが、洗張りをすることで着物がもつ生地の風合いが戻ります。着物の生地の‘張り’・やさしくしなやかな‘風合い’を甦らせたい時、着物を修復させたい時に
  • 仕立て直し
    着物やコート・羽織などの寸法(サイズ)をかえるために仕立直しをすること。工程は、着物を解く→洗張り→希望の寸法に仕立てます
  • リフォーム
    着物からコートや羽織・帯などにリフォームをする時。工程は、着物を解く→洗張り→希望の品に仕立てます
  • 保管
    長年保管していた着物にカビがでることがあります。カビがでないように虫干しなどのケアが有効ですが、さらに仕立直し・染め・リフォーム等を検討している着物は、洗張りをしてきれいにしておくのも良い方法です。仕立てたいときにすぐ仕立てができます。※保管の際には湿気にはご注意下さい。湿気がある場所で長く保管されていると洗張りをしていてもカビが発生する可能性があります。

洗張職人の仕事

寒い日も暑い日も冷たい水を使う大変なお仕事です。また、着物を傷つけることなくきれいにするのはとても難しい作業です。その工程を経て仕上がった着物は見違えるようにきれいになり、風合いも蘇ります。ぜひみなさまにもこの素晴らしいお仕事を知って頂きたいです。丸洗いとは違って、洗張する場面は少ないですが、美しさを取り戻せますし、お仕立直しには必須のお仕事です。

着物のセルフメンテナンス 自分でできるお手入れ

着物のお手入れ普段から気を付けてみませんか。ちょっとした心がけでいいことがたくさんあります。例えば、汚れに早く気が付いてしみ抜きをすぐにすると取れやすいので、取れやすい=料金負担が少なくてすむ。というメリットもあります。キレイな状態を維持できるほど着物も喜び、ずっとキレイで着続けることができるので、嬉しい時間が続きます。

着た後

帰宅後は必ず着物・長襦袢・帯を干して風を通してあげて下さい。着用時の身体の湿気をとばすことが大事です。その際に汚れが付いていないかをチェックして下さい。気になるシミがある場合は早い目にとっておくと取れやすいので料金面でも良いことばかりです。目立つ汚れがない場合は、季節の変わり目には丸洗いなどお手入れをして頂くと次のシーズンにきれいに着られます。次の準備もしてあげましょう。

 

年に1度は虫干しを 着物を愛でてあげる1年に1回の機会

着物を手をかけてあげると長くきれいに着続けられます。長くキレイに維持して頂くために1年に1回風を通してあげたいのです、目的は中にこもっている湿気をとることで、名前がありまして‘’虫干し‘’と言います。

では虫干しって何でしょう?ってなると思います。着物の湿気取りのために着物をハンガー(できれば着物用ハンガーオススメ)にかけて干すことを言います。しまいこんでしまうと、湿気が箪笥にある、着物が湿気る、カビの原因になる。のを防ぐ効率的で無料で自分でできる最強のメンテナンスです。干すだけ!です!でもそれが面倒とは思いますが、でも知って頂きたいのは、虫干しは無料です。そして着物のコンディションを維持するためにはとても効果がすごくあるメンテナンス方法です。

虫干しが有効な事をお話させて頂いてますが、わたしが一番思っているのは、メンテナンスとか虫干しというやらなくちゃ~というイメージよりも『1年に1回、大事な着物を愛でてあげる機会』。振袖がお家で干してあると、あの嬉しい日をご家族で振袖を見て思い出すことができます。嬉しくて懐かしい日に一瞬で戻れるのが着物のすごいところです。なので、いつもはしまっている留袖をアルバムを出すように思い出に触れる機会としてまた出会ってあげてください。それはきっと心が温かくなる幸せの時間になるはずです。

そんな幸せの時間の過ごし方という虫干し。方法と虫干しは少しづつ分けてやってみましょうというお話をしています。ご一読下さると嬉しいです。

【着物と過ごすお家時間 3】着物を広げて虫干しにチャレンジ

【着物と過ごすお家時間 4】着物とより良く過ごすコツ

 

気になる衿汚れベンジンを使ってとる体験

着物を着て楽しんでくださってる皆様の何かお力になれること

【体験】【着物を着る方向け】−普段着の着物−ベンジンで汚れを取る体験

「衿の汚れ、自分でとってみたい」でも、慣れないベンジンを使っての作業は不安と思います。普段着の着物なのでもっと気軽にケアしたいですよね。そこで実際に着物で作業していただく機会を気軽にワンコインで。

流れは、体験前に説明をさせていただきます。私が先に実戦しますので見ていただきます。次にお客様にトライしていただきます。お店でご用意している着物で体験いただくので、手ぶらでOKです。お店で用意する着物なので安心して失敗してください。失敗は成功のもとです。

体験内容

  1. ベンジンの気をつけないといけない取扱事項
  2. ベンジンでセルフケアをしてはいけない着物のお話
  3. 先にお見せします
  4. お店にある着物に擬似汚れをつけて挑戦していただきます

 

−普段着の着物−ベンジンで汚れを取る体験

  • 持ち物 手ぶらでOK
  • 料金  500円
  • 時間  お1人 約15分 / 体験と説明
  • ご予約 メール・電話 ご予約の候補はいくつかご指定いただけますと有難いです
  • 場所  当店です アクセスと営業時間
  • 人数  お一人様からお友達とご一緒
  • ご注意 着物の種類は「普段着の着物」のみです。礼装のメンテナンスはプロにお任せください。またベンジンは油性の汚れをとる薬品のため、汗などの汚れは取れません。
お願い

お話しに花が咲いてしまってアレコレお喋りしていたら、15分を過ぎるかもしれません。できましたら余裕を持ってご予定いただけますでしょうか。またご利用くださいます人数に比例してお時間が長くなるので合わせてご了解下さい。

最後に

この企画を考えた理由は、着物はもっと身近で楽しくて人生を輝かせてくれるもの。と思うのと、着物のお手入れって自分を大事にしている『自分と向き合う大事な時間』でもあると思っています。忙しい毎日の中でそういう時間を持てることはとても素敵です。その素敵な時間のきっかけになれば嬉しいです。

お手入れQ&A

Q.受継いぎたい【振袖】があります。どうするのがよいか困っています

A. 振袖は人生の幸せの瞬間に身にまとう大事な着物なのでより一層お気持ちが深いので、ちゃんとしてあげたいお気持ちと思います。サイズや着物の状態などご判断いただくのは難しいことかもしれません。そこで振袖を受け継ぐことで知って頂くと分かりやすくなると思う内容をまとめた記事を書いております。嬉しい日の準備は大変と思いますが、家族の思いをつなぐ大事な時間、嬉しさと喜びにつながる大事な時間なのでぜひこちらを一度ご覧いただけますでしょうか。→【着物再生】振袖を受け継ぐために知っておきたい 5つのこと

Q.受継いぎたい【留袖】があります。どうするのがよいか困っています

A.ご家族の晴れの日の着物【留袖】着られる日がくることが何よりも嬉しい幸せなことですね。ご結婚の予定がお決まりになったら留袖の準備です。新しく誂えることも素敵ですが、お母さまおばあ様の留袖を受け継いで着てあげることは、家族の幸せの門出をお祝いしてきた留袖を着て結婚式に出席する、喜びをつなぐことができる幸せな時間だと思います。色々ご心配なこともあるかもしれないですね。留袖を受け継ぐことができる喜びにつながるきっかけになりますように、知って頂くと分かりやすくなると思うことをまとめました→【着物再生】【留袖を受け継ぐために知っておきたい5つのこと】

Q.受継いぎたい【訪問着】があります。どうするのがよいか困っています

A.訪問着はご結婚されてから活躍するお着物ですね、お宮参り・入学(入園)式・卒業式。そして結婚式やパーティ・イベントなど華やかなお祝いの席に着て嬉しい日に華を添えてくれます。数年に1回のペースでお召しになられるのでお手入れやお仕立直しをして受け継ぐことができると嬉しいですね。そこで訪問着を受け継ぐ時に知って頂きたいことをまとめました→【着物再生】訪問着を受け継ぐために知っておきたい9つのこと

Q.受継いぎたい【普段着の着物】があります。どうするのがよいか困っています

A.普段着の着物を受け継がれて、楽しむことができるとお洋服とお着物と両方をお出かけのシチュエーションによって選んだり、楽しいですね!ぜひ受け継いで生かしていただけたらと思います。普段着の着物を着るためにご判断いただくのに知って頂くと便利なことをまとめました。なれない方にも分かりやすくなればということで、項目を分けています、長いですのでお時間あるときにぜひご覧ください。

  1. 【着物再生】普段着の着物を受け継ぐために知っておきたいこと『はじめの1歩』
  2. 【着物再生】普段着の着物を受け継ぐために知っておきたいこと『はじめの2歩目-種類と季節を知る』
  3. 【着物再生】普段着の着物を受け継ぐために知っておきたいこと『はじめの3歩目-着る準備メンテナンス』
  4. 【着物再生】普段着の着物を受け継ぐために知っておきたいこと『はじめの4歩目-着物のリフォーム方法』

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